ドイツのエネルギー・環境分野の最新情報をお届け
2024年第2号
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目次
ごあいさつ
経済ニュース
環境ニュース
- ソーラーパッケージ1が可決
- EUで2030年よりすべての包装がリサイクル可能に
- ドイツのエネルギー転換、依然として険しい道のり
- ザルツギッターとユニパー、グリーン水素の供給と購入に関する予備契約を締結
- EnBW、アブダビ国営石油会社との間でLNG購入契約を締結
- ボッシュ、ポルシェがバッテリーリサイクル新興企業Cylibに投資
- 三菱電機、ベルリン・テーゲルの都市開発プロジェクトに参入
- IFAT ミュンヘン、過去最高来場者を記録
- RWE、英グランジマスにおいてグリーン水素プロジェクトを開発
- ハーベック連邦大臣、アルセロール・ミッタルに約13億ユーロの助成金通知を手交
- ドイツで初めて木製ローターブレードが風力タービンに、風力エネルギー産業をより持続可能なものへ
- ドイツ、洋上風力発電の大幅拡大を目指す
イベント報告
イベント案内
特集
ごあいさつ
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読者の皆様、
今回は、シリングに代わりまして私メームケンよりご挨拶させて頂きます。先週、70歳の誕生日を迎え、オスナブリュックで祝賀会を開催し、ECOSとともに歩んだ人生を振り返る機会に恵まれました。昔からのパートナーの皆様や、ご友人の皆様、そして新しいパートナーの皆様が祝賀会にお越しくださり、大変有難く感じました。 ECOSで過ごした30年以上を振り返りますと、大変な試練に見舞われ、それを乗り越えることが容易でなかった時期もありました。しかし、社員、シェアホルダー、そしてパートナーの皆様やお客様のサポートにより、ECOSはサクセスストーリーとなったのみならず、私の人生を豊かにしてくれました。
エッセン・ミュールハイム・オーバーハウゼンのルール地域と長崎県との地域経済協力、日独環境・エネルギーフォーラム、日独経済フォーラム、日独エネルギー変革評議会(GJETC)など、我々は設立当初から日独協力の構築に力を注いで参りました。我々は常に新しいトピックに目を向けてきましたが、持続可能性と気候変動対策への焦点をこの30年間、見失うことはありませんでした。ですから、今日のECOSの焦点の一つが循環型経済であることは当然とも言えるかもしれません。
ここで、私が長年にわたる禅修行から得た個人的な気づきを皆様と分かち合いたいと思います。人類として生き残りたいのであれば、エネルギーや気候変動について対応するだけでは十分ではありません。幸福は消費と物質的なものに限られるという意識を変えていくことが必要なのです。
今後も、ECOSへの変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
ECOS代表取締役・創業者
ヴィルヘルム・メームケン
経済ニュース
ドイツへの投資案件数、過去10年で最低水準、金額は前年を上回る
2023年に外国企業がドイツで発表した投資プロジェクトの案件数は過去10年で最低の水準に。一方、金額ベースでは、前年比37%の伸び率となった。高騰するエネルギー価格、税金、行政の煩雑さ等が逆風となっている。
2023年、外国企業がドイツで発表した投資プロジェクトの案件数は733件にとどまった。これは、過去10年で最低の水準となり、前年比で-12%となる。2017年以降、ドイツへの投資件数は35%減少し、フランスでは20%増加している。これは経営コンサルタントEYによる分析結果で、Handelsblattが事前に発表したものである。この数字に純粋な買収は含まれていない。 この発表はビジネス拠点としてのドイツの魅力に関する議論を呼び起こしそうだ。ドイツにおいて外国企業は経済生産の4分の1を占めている。
EYの代表であるヘンリック・アーラー氏は、ドイツは取り残されつつあり、他の欧州の拠点はダイナミックに発展していると警鐘を鳴らしている。高騰するエネルギー価格、税金、行政手続きの煩雑さなどが減少の原因と見られる。ドイツ貿易・投資振興機関のプレスリリースによれば、FDIの金額で見た場合、前年比37%増となる。投資案件の主な分野は、デジタリゼーション、ヘルスケア、ライフサイエンス、エネルギー・資源、エレクトロニクス、オートメーション、モビリティ、ロジスティクスとなっている
(出典:2024年5月2日ハンデルスブラット紙、5月17日ドイツ貿易・投資振興機関)
ドイツ経済、2024年の見通し
インフレと賃上げのスパイラルが止まらないドイツ。経済の見通しも引き続き不透明で、企業や家計のムードは暗い。2023年冬のifo経済予測に比べ、今年の成長率予測は大幅に引き下げられ(0.7%ポイント)、2025年についてはわずかに引き上げられる(0.2%ポイント)。
ドイツでは、インフレと賃上げのスパイラルが続いている。ドイツ経済の見通しにつき、専門家はどう考えるのか。ドイツ経済研究所の予測によれば、企業や家計のムードは悪く、不確実性が高い。物価調整後の国内総生産は、2024年は前年比0.2%増にとどまると予想されている。2023年冬のifo経済予測に比べ、今年の成長率予測は大幅に引き下げられ(0.7%ポイント)、2025年についてはわずかに引き上げられる(0.2%ポイント)。全経済部門における受注状況の悪化、受注残の低水準、高い疾病率、継続するストライキなどが、ドイツ経済に暗い影を落とす。
インフレ率は昨年の平均5.9%から、今年は2.3%、来年は1.6%へと下がり続ける。特にガスと電気の価格は消費者にとって有利になる。従って、予測期間中、エネルギー部門はインフレ率を低下させる可能性が高い。コア・インフレ率(エネルギーを除く消費者物価の上昇率)はより緩やかに低下し、今年は2.8%、来年は2.2%と、全体のインフレ率よりも高くなるだろう。特に労働集約型サービス業者のインフレ率は、賃金コストの上昇が物価上昇圧力を維持しているため、緩やかな下落にとどまるだろう。
(出典:2024年3月6日、ドイツ経済研究所)
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ショルツ首相、ハノーファーメッセでエネルギー転換を強調
ハノーファーメッセにおいて、ショルツ首相は、エネルギー転換に新たな弾みをつけ、ドイツ産業の競争力を強化する意向を示した。今回の見本市では、人工知能とエネルギー転換のためのソリューションに焦点が当てられた。
世界的に著名な産業見本市となるハノーファーメッセにおいて、ショルツ首相は、エネルギー転換に新たな弾みをつけ、ドイツ産業の競争力を強化することを期待していると述べた。人工知能(AI)とエネルギー転換のためのソリューションに焦点を当てたこの産業見本市は、現在のドイツの重要な優先課題を示すものである。手ごろな価格のエネルギーと更なるイノベーションが、生産性と成長を高めるための重要な前提条件となり、そのためには、ハノーファーメッセで展示されるようなインテリジェントなAIソリューションが必要不可欠となる。
見本市には、マイクロソフト、グーグル、アマゾンウェブサービス、デル、SAP、シーメンス、ボッシュなど、数多くのテクノロジー企業が出展。また、中堅企業や300以上の新興企業も多数出展しているほか、水素分野だけでも500社以上が出展している。
(出典:2024年4月21日、Tagesschau)
環境ニュース
ソーラーパッケージ1が可決
連邦議会と連邦参議院を通過したソーラーパッケージ1により、太陽光発電システムの設置が容易になり、都市部や低収量農地での普及が期待される。一方、欧州製設備を奨励する「レジリエンス・ボーナス」盛り込まれなかったことにより、一部の地方政府やメーカーからは失望の声が上がっている。
ソーラーパッケージ1については、政権内で議論が紛糾していたが、連邦議会・連邦参議院の審議を経て可決した。これにより、太陽光発電システムの拡張に関する行手続きが簡素化され、さらに、将来的には太陽光発電所の建設に利用できる土地が増えることになる。低収量の農地で計画される太陽光発電事業も、原則として入札に参加できるという規制が含まれているからだ。また、都市部における太陽光発電の普及にも資すると期待されている。ソーラー・パッケージは共同供給システムを導入している。従来は、集合住宅で太陽光発電システムを設置する場合、居住者の一人がエネルギー供給者となり、大規模な石炭火力発電所の運営者と同様の義務を負うことが必要であった。今回の法律により、居住者はこれらの義務を負うことなく集合住宅の屋根に独自のソーラーシステムを設置することが可能となる。
自由民主党(FDP)が反対し、連立政権内で対立要素となっていた欧州製の太陽光発電設備を奨励する「レジリエンス・ボーナス」は、今回の合意には含まれていない。これに対しては、大手メーカーの集積地になっているザクセン州、ザクセン・アンハルト州政府から失望の声が上がっている。実際、大手メーカーのマイヤー・ブルガー社は、ザクセン州の生産拠点を閉鎖し、北米に拠点を移している。また、ドレスデンに所在するソーラーワット社もソーラーパッケージ1の結果を受け、ドイツでの生産を今年の8月から停止することを発表している。
(出典:2024年4月16日PV Magazine、26日Erneuerbare Energie、30日ハンデルスブラット紙)
EUで2030年よりすべての包装がリサイクル可能に
EU理事会との暫定合意により、包装材の削減目標が設定され、特定の使い捨てプラスチック包装が2030年から禁止される。製造業者や輸入業者には、軽量で容積の少ない包装を確保する義務が課され、消費者は再利用可能な包装を利用できるようになる。
EU理事会との暫定合意には、包装材の削減目標(2030年までに5%、2035年までに10%、2040年までに15%)が盛り込まれているだけでなく、EU各国にプラスチック包装材の廃棄物削減も義務付けられている。不必要な包装を減らすため、外装包装、輸送用包装、電子商取引用包装の空スペースの割合は将来的に50%を超えてはならない。また、製造業者や輸入業者は、容積の少ないより軽い包装を確保しなければならない。
2030年1月1日以降、特定の使い捨てプラスチック包装が禁止される。例えば、未加工の生鮮果物や野菜の包装、カフェやレストランで提供される飲食物の包装、1回分の小分け包装(香辛料、ソース、クリーム、砂糖など)、ホテルで使用される洗面用具の小型使い捨てプラスチック包装、超軽量プラスチック製キャリーバッグ(15ミクロン未満)などである。 また、健康への影響に鑑み、今後、有機化学物質(パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質、PFAS)を、一定の限度を超える包装に使用することは禁止される。EUでは包装廃棄物が増え続けており、リサイクルが追いついていない。今回の規制により、家庭でのプラスチックごみの削減が期待される。
アルコール飲料および非アルコール飲料の包装(牛乳、ワイン、芳香蒸留酒などを除く)、輸送・販売用包装、二次包装については、2030年までに再利用するための特別な目標が設定されている。一定の条件のもと、加盟国はこれらの要求事項から5年間の適用除外を認めることができる。 飲料や持ち帰り食品の最終販売業者は、消費者が自分の容器を使用できるようにしなければならない。また、2030年までに自社製品の10%を再利用可能な包装で提供するよう努めなければならない。
(出典:2024年4月24日、欧州議会プレスリリース)
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ドイツのエネルギー転換、依然として険しい道のり
エネルギー転換進捗モニターが現状と課題を検証。EYとドイツエネルギー・水産業協会(BDEW)の報告によると、再生可能エネルギーの割合が初めて50%を超え、エネルギー転換は勢いを増しているが、2030年までに7210億ユーロの投資が必要。2023年には太陽光発電の大幅な増設が見られたが、目標達成にはさらなる拡大が求められる。
気候変動と闘うために、ドイツ政府は2030年に向けて非常に野心的な目標を掲げている。温室効果ガスの排出量は、1990年比で65%削減される。これらの目標について、各分野でこれまでにどのような進展があったのか。これらの目標を達成するために、2030年までに必要な投資額はどの程度なのか?また、エネルギー転換への投資は、ドイツの経済成長にどのような貢献ができるのだろうか?EYとドイツエネルギー・水産業協会(BDEW)による「エネルギー転換進捗モニター」は、これらの疑問について検証している。報告書では、主要な数字を用いてドイツにおけるエネルギー転換の現状を検証し、その実現に向けた最大の障害がどこにあるかを示している。進捗モニターの重要な洞察のひとつは、エネルギー転換がこの1年で勢いを増したということである。計画と認可の手続きは簡素化された。発電に占める再生可能エネルギーの割合は、初めて50%を大きく超えた。とはいえ、課題は依然として大きい。Progress Monitorによると、目標を達成するためには、2030年までにエネルギー発電、電力網、水素経済、暖房、輸送の分野で総額7210億ユーロの投資が必要となる。
前年と比べ、2023年には再生可能エネルギーと電力網の拡大が大きく進展した。その結果、総電力消費量に占める再生可能エネルギー(RE)の割合は、2023年に初めて50%を超えた。とりわけ、2023年は太陽光発電にとって記録的な年となった。合計1360万kWの太陽光発電システムが増設され、前年比でほぼ倍増し、目標の900万kWを上回った。しかし、ドイツ政府の拡大目標を達成するためには、2026年から毎年2,000万kW以上の増設が必要となる。
(出典:2024年4月30日、EY)
ザルツギッター社とユニパー社、グリーン水素の供給と購入に関する予備契約を締結
ユニパー社のヴィルヘルムスハーフェンで製造されるグリーン水素は、ザルツギッター社の低CO2製鋼プロジェクトSALCOS®で使用され、ドイツ鉄鋼業界のCO2排出削減に貢献する。ユニパー社は電解プラントの拡張やグリーンアンモニアの輸入ターミナル建設も計画しており、水素供給インフラの強化が進む見通し。
ザルツギッター社とユニパー社は、2028年から年間最大20,000トンの認定グリーン水素を供給する予備契約を締結した。この水素は、ユニパー社がヴィルヘルムスハーフェンで計画している200MWの大規模電解プラントで製造され、ザルツギッター社のSALCOS®(同社の低CO2製鋼プロジェクト)で使用される。その目的は、ほぼCO2ニュートラルな鉄鋼を生産し、ドイツの鉄鋼業界のCO2排出量を大幅に削減することである。この契約には、水素供給に関する技術的および商業的な枠組み条件が含まれている。ヴィルヘルムスハーフェン(ニーダーザクセン州の港湾都市)からザルツギッター(ハノーファーから南東70kmに位置する)までのパイプラインが必要であり、早急に実現しなければならない。ユニパーはまた、ヴィルヘルムスハーフェンの電解能力を1GWに拡張する計画で、これにより年間10万トンの水素生産が可能になる。さらに、グリーンアンモニアを輸入するためのターミナルを建設し、水素に変換してドイツの送電網に供給する予定だ。
ヴィルヘルムスハーフェンは、再生可能エネルギー、特に洋上風力発電所へのアクセスに優れ、水素貯蔵施設やドイツの水素パイプラインシステムへの接続が計画されていることから、ユニパーのプロジェクトにとって理想的な立地である。 ザルツギッターのSALCOS®プログラムは、従来の石炭ベースの鉄鋼生産を段階的に直接還元技術に転換することに重点を置いており、二酸化炭素排出量を大幅に削減するために、還元剤としてグリーン水素を使用するケースが増えている。
(出典:2024年4月23日、ザルツギッター社)
EnBW、アブダビ国営石油会社との間でLNG購入契約を締結
EnBW、ADNOCと15年間のLNG購入契約締結。ルワイスLNGプロジェクトから年間0.6百万トンを2028年から供給する。
EnBW Energie Baden-Württemberg AG(EnBW)は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)と15年間の液化天然ガス(LNG)購入契約を締結した。ADNOCは、2028年に予定されているルワイスLNGプロジェクトの操業開始以降、年間0.6百万トンのLNGをEnBWに供給する。調達ポートフォリオを多様化し、独自のLNGバリューチェーンを確立するのが狙いだ。 ルワイス・プロジェクトは、総容量9.6百万トンのLNG液化プラントであり、操業開始後は、中東で初めて低炭素エネルギー源から電力需要を満たすLNG液化プラントとなる。液化プラントの電気駆動は、LNG生産におけるカーボンフットプリントの最適化を保証する。また、最先端のAI技術を使用することで、プロセス全体のエネルギー効率も高くなっている。
(出典:2024年5月9日、EnBW)
ボッシュ、ポルシェがバッテリーリサイクル新興企業Cylibに投資
Cylib、ポルシェとワールド・ファンド主導で5,500万ユーロを調達。EVバッテリーからの高効率リサイクル技術を強化。DeepTech&Climate Fundとボッシュも投資。増加するリチウムやグラファイトの需要に応えるリサイクル技術を開発するCylibに注目が集まる。
アーヘン発のリサイクル新興企業Cylibが、新たな資金調達ラウンドで5,500万ユーロを調達した。この資金調達ラウンドはポルシェとワールド・ファンドの資本会社が主導した。DeepTech&Climate Fundとボッシュも同社に投資した。自社で開発した機械的・化学的プロセスを用いて、電気自動車用バッテリーから貴重な原材料を回収することを目指す同社は、競合他社よりも大幅に高い回収率を約束する。 「電気自動車、スマートフォン、ノートパソコンの増加により、リチウムやグラファイトなどの原材料の需要が急増している。価格も同様だ。そのため、バッテリー原料のリサイクルはますます重要になっている。 BASF、Aurubis、フォルクスワーゲンといった大手企業がこの事業に参入し、独自のリサイクル工場を建設している。2023年6月末には、化学企業のBASFがリチウムイオン電池をリサイクルするプロトタイプ工場をルサシア州のシュヴァルツハイデに開設した。
(出典:2024年5月17日、ハンデルスブラット紙)
三菱電機、ベルリン・テーゲルの都市開発プロジェクトに参入
三菱電機、ベルリン・テーゲル都市開発プロジェクトに参加。市長訪問時に趣意書に署名がなされた。旧テーゲル空港跡地での建物デジタル化とエネルギー効率化に向けた持続可能なソリューションを開発。
三菱電機がベルリン・テーゲル都市開発プロジェクトに参加することが、ヴェグナー・ベルリン市長の東京訪問で明らかになった。同社とベルリン州(Tegel Projekt GmbHが代表)は、5月17日に趣意書に署名した。
プロジェクトでは、ベルリンTXL開発プロジェクトの一環として、旧テーゲル空港跡地で建物のデジタル化とエネルギー効率化のための持続可能なソリューションを開発することである。ベルリンTXLは、2020年にベルリンの旧テーゲル空港が閉鎖された際に再開発が可能になった5平方キロメートルの敷地に、いわゆる「スマートシティ」を建設することを目的として2021年に発足した。この開発プロジェクトは、エネルギーの効率的利用、環境に優しいモビリティ、持続可能な建設、再生可能エネルギーの利用など、21世紀の大都市が直面する重要な課題に取り組むことを目的としている。
(出典:2024年5月17日、Tagesspiegel)
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IFAT ミュンヘン、過去最高来場者を記録
IFATミュンヘン2024、最高の来場者数で閉幕。142,000人が参加し、海外からの来場者と出展者が過去最高を記録。環境保護や気候変動適応が主要テーマに。日本企業も多数出展し、水処理や循環型経済が注目された。
5月13日から17日までミュンヘン・エキシビションセンターで開催されたIFATミュンヘン2024は、最高の来場者数で幕を閉じた。約170の国と地域から約142,000人の来場者が、上下水道、廃棄物、原材料管理のための世界有数の見本市に参加した。海外からの来場者の割合は50%を超え、過去最高を記録。海外からの出展者数も過去最高を記録し、出展者数3,211社のうち55%が海外からの参加となった。 今年のIFATミュンヘンでは、世界がいかにして気候変動に適応し、国際的な気候保護目標を達成するなど、積極的に環境を保護することができるかが、重要なテーマとなった。水処理、水リサイクル、排水処理が展示場では存在感を示していた。日本からは、東レ、クボタメンブレン、三菱ケミカル、フジクリーン社などが出展。循環型経済は、使用する必要のある(一次)原材料を効果的に削減するのに役立つため、重要な役割を果たしており、今後も注目の的となりそうだ。
(出典:2024年5月17日、IFATプレスリリース、ECOS独自取材)
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RWE、英グランジマスにおいてグリーン水素プロジェクトを開発
RWE、グランジマスで画期的なグリーン水素プロジェクトを発表。INEOSグランジマスに供給し、スコットランドの脱炭素化に貢献プロジェクトは最大200MWeの生産能力を持ち、2029年までに稼働予定。
RWEは、グランジマスにおいて画期的なグリーン水素プロジェクトを開発する予定であることを発表。この取り組みは、水素経済を推進し、スコットランドの脱炭素化目標に貢献するというRWEのコミットメントを強調するものとなる。 RWEは製造した最初の水素をINEOSグランジマスに供給し、同社の温室効果ガス排出量の大幅削減を支援する。開発許可取得後、操業が開始されれば、当初の生産能力は最大200MWeとなり、1時間当たり最大3.6トンの水素を生産することが見込まれる。このプロジェクトは、INEOSの二酸化炭素排出量を削減し、他の産業ユーザーにもグリーン水素への移行機会を提供するもので、グランジマスをスコットランドにおける脱炭素化の中心に据えることになる。
同プロジェクトは、2029年までに稼動する可能性があり、INEOSの施設に隣接するグランジマウス工業団地内の土地に建設され、製造された水素は少し離れた場所までパイプで送られる。 スコットランドはRWEにとって戦略的に重要な地域であり、26の事業所で約480MWの再生可能エネルギー容量を導入している。現在建設中の100MWの陸上風力発電を含む更なる拡張が進行中であり、RWEは引き続き再生可能エネルギーへの移行を推進し、英国全土で水素開発イニシアチブを推進していく意向。RWEは欧州全域でグリーン水素プロジェクトを積極的に展開しており、2030年までに中核市場で2GWの自社グリーン水素電解槽容量を目標としている。
(出典:2024年5月14日、RWEプレスリリース)
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ハーベック連邦大臣、アルセロール・ミッタルに約13億ユーロの助成金通知を手交
ドイツ鉄鋼生産の脱炭素化のために欧州委員会から承認された資金援助の通知書がアルセロール・ミッタルに手交された。2026年から稼働し、年間380万トンのグリーン鉄鋼を生産する。これにより、ドイツの鉄鋼業全体の排出量の10%以上が削減される。
5月20日、ロベルト・ハーベック連邦大臣とブレーメンのクリスティナ・ヴォクト上院議員は、北ドイツのブレーメンと東ドイツのアイゼンヒュッテンシュタットにおける平鋼生産の脱炭素化のための12億7000万ユーロの助成金の通知書をアルセロール・ミッタルに手交した。これにより、ドイツにおける鉄鋼業の脱炭素化のための4番目の大規模プロジェクトが開始できることになる。この資金援助は2月に欧州委員会によって承認された。
今回の資金援助を受けるDRIBE2プロジェクトは、再生可能な水素を使用するようになる直接還元プラントと、複数の電気アーク炉という3つのサブプロジェクトから構成される。これらは2026年から稼動し、年間380万トンの「グリーン」鉄鋼を生産し、最大580万トンのCO2削減につながる。このCO2削減量は、ドイツの鉄鋼業全体の排出量の10%以上に相当する。資金の一部はブレーメン州政府から提供され、欧州復興支援制度「NextGenerationEU」が共同出資している。ハーベック連邦大臣によると、DRIBE2は、気候保護、産業、雇用が共に成功する例を示している。
(出典:2024年5月30日、連邦経済・気候保護省 )
ドイツで初めて木製ローターブレードが風力タービンに、風力エネルギー産業をより持続可能なものへ
2024年5月、ドイツ新興企業により、木製ローターブレードが初めてエネルコンの風力タービンで試用された。特殊なブレード素材により、再生利用が可能で、従来のプラスチック製ローターブレードよりも安定した運用が期待できるほか、生産の自動化も可能となる。
新興企業の Voodin Blades Technology社 (ヴーディン・ブレード・テクノロジー社)は、カッセル近郊のエネルコン社製風力タービンに、長さ約20メートルの木製ローターブレードを初めて取り付けた。これらのローターブレードは、単板積層材 (Laminated Veneer Lumber, LVL)で作られている。LVLは単板を繊維方向を揃えて積層、接着した木質材料である。これらの木製品は、ローターブレードの複雑で労働集約的な手作業 、リサイクルの難しさ、品質保証、風力エネルギー産業における3つの主な問題を解決することを目的としている。低賃金国での労働集約的な手作業による生産は、CNCフライス盤に置き換えることができ、品質問題の軽減と高度な自動化につながる。埋められたり燃やされたりすることが多いこれまでのローターブレードに比べ、木製ブレードはリサイクル可能だ。Voodin Blades Technologyの共同設立者であるホルヘ・カスティーヨは、木製ローターブレードはグラスファイバー製ローターブレードよりも疲弊しにくく、過酷な気象条件にも耐えられると強調する。新興企業の次のステップは、60メートルの長いプロトタイプを開発することだ。
(出典:2024年5月10日、Erneuerbare Energien)
ドイツ、洋上風力発電の大幅拡大を目指す
連邦海事水路庁は、2037年までに洋上風力発電を最大60GWまで拡大する計画を立案。ドイツの長期目標は、2045年までに70GWの風力発電容量を導入することである。
連邦海事水路庁(BSH)は、2037年までに洋上風力発電を最大60ギガワット(GW)まで拡大する計画を立案。この計画案は、ドイツの洋上風力エネルギー生産を劇的に増加させるための継続的な推進を表している。これは、2035年までに40GWという法定目標を50GWに拡大するものである。その後の2年間で、さらに10GWの増産が見込まれている。 6,000万kWのうち、3,600万kWが加速地域に指定される。これらの地域は、洋上風力タービンの建設と運転に特に適しているため、許可手続きが簡素化される。 洋上風力発電は、ドイツのクリーンエネルギーへの移行において極めて重要な戦略的要素である。ドイツの長期目標は、2045年までに70GWの風力発電容量を導入することである。
(出典:2024年6月10日、ドイツ貿易投資振興機関(GTAI))
イベント報告
5月27日 GJETCアウトリーチイベント
GJETC研究チームが電力市場とエネルギー効率化政策に関する研究結果を発表し、その後、参加者とのオープンディスカッションが行われました。
日独エネルギー変革評議会(GJETC)は、エネルギー転換の主要課題に関する日独両国の市場および政策の現状を詳細に分析した2つの新しい研究を発表しました。
一つ目の研究「電力市場の設計-ドイツと日本における柔軟性への投資を支援する手段」は、太陽光発電と風力発電の高い比率の統合に必要な電力網の柔軟性資源への投資を増やすために、両国における既存の政策戦略と潜在的な政策戦略を分析しています。
二つ目の研究「エネルギー効率化政策のより効果的なガバナンス」は、COP28気候会議の目標であるエネルギー効率の年間4%向上を達成するための効果的な政策の必要性について、一般的な政策提言と分野別の政策提言をまとめたものとなります。 5月27日のアウトリーチイベントでは、GJETC研究チームが研究結果を発表し、その後、参加者とのオープンディスカッションが行われました。
二つの研究はこちらのウェブサイトから御覧頂けます。
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6月14日ECOS創業者メームケン、70歳祝賀会
70歳の誕生日祝賀会をオスナブリュックで開催。
オスナブリュック和太鼓グループ「星太鼓」の演奏とともに、祝賀会が開幕。約60名のお客様にリマルク・ホテルにお越し頂きました。戸田真介在ハンブルク日本総領事に歓迎の辞を頂戴いたしました。メームケンは、30年以上にわたるECOSの活動を振り返り、困難な時期にもかかわらず、多くの支援をいただいたことへの感謝の旨を述べました。欧州選手権の開幕戦にもかかわらず、お祝いに駆けつけてくださった皆様、そしてオスナブリュック・ターフェルへのご寄付に心より感謝申し上げます。
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6月18日GXウェビナー
日欧産業協力センター主催のウェビナーで、日本政府のグリーントランスフォーメーション戦略について、弊社シリングが紹介。投資プログラムの詳細や、外国企業への影響について説明しました。
政府の「グリーントランスフォーメーション」(GX)戦略の一環として、日本は今後10年間で「グリーン」技術への官民投資を150兆円以上計画しています。これは欧州企業、特にエネルギー、モビリティ、循環型経済、建設・住宅、農業・食料の分野に幅広い機会と可能性を提供するものとなります。日欧産業協力センター主催の無料ウェビナーでは、弊社代表のヨハンナ・シリングが、投資プログラムの詳細と、関連するさまざまな技術分野における外国企業の影響と機会について紹介しました。
GX戦略に関する弊社レポートについては、こちらから御覧頂けます。
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イベント案内
7月4日DJWシンポジウム
日独産業協会は、シンポジウム「多角化によるレジリエンス」を開催予定。企業の競争力維持と困難対応の戦略を紹介。日独企業のレジリエンス戦略とイノベーション活用がテーマ。DJW会員は無料参加可能。
弊社も会員となっている日独産業協会は、「多角化によるレジリエンス(回復力)」をテーマにシンポジウムを開催する予定です。弊社もサポーターとして参加させて頂く予定です。レジリエンス、適応力、行動戦略は、企業として競争力を維持し機敏に行動するために、(予想外の)困難に直面した際に必要となります。日独の企業がどのように未来志向のレジリエンス戦略を統合し、イノベーションを活用し、チームとともにレジリエンスを高めているかについて紹介される予定です。DJW会員は参加無料となります。詳細については同協会のこちらのウェブサイトをご参照ください。
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7月23日持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2024)
専門家、国際機関、政府、企業、NGOの代表者が一堂に会し、アジア太平洋の視点から持続可能な開発について多様な議論を行うフォーラムISAPが横浜で開催。主催はIGES。
地球環境戦略機関(IGES)は、第16回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2024)を開催します。7月23日(火)にパシフィコ横浜で開催される本会議は、対面参加とオンライン参加のハイブリッドイベントとして開催されます。 ISAPは、専門家、国際機関、政府、企業、NGOの代表者が一堂に会し、アジア太平洋の視点から持続可能な開発について多様な議論を行うフォーラムです。ISAP2024の包括的テーマは、「Taking an Integrated Approach to Overcome the Triple Planetary Crisis 」となります。このフォーラムでは、気候変動、生物多様性の損失、環境汚染という現在の3つの地球規模の危機に対処する戦略を掘り下げます。また、持続可能な社会への移行を加速させる方法についても議論される予定です。 詳細は、ISAPのウェブサイトをご参照ください。
特集
EUにおけるスマート農業
弊社プロジェクトマネージャーのルーカス・ヒューアが、2023年12月に北海道大学に向けてオンラインで行ったスマート農業に関するレクチャーがYoutubeで公開されました。EUのスマート農業における現状、補助金制度、今後の見通し等についての情報が含まれていますので、是非ご笑覧ください。
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